プロジェクトストーリー
- 新製品開発
「InP粗面化液」と「AlGaInP粗面化液」
Phase 1
開発期間は約1年。新規原料を用いることで成功へ(InP粗面化液)
確かな技術力と蓄積してきたノウハウ、そしてあらゆるご要望に寄り添う対応力が林純薬工業の強みです。大手企業では対応が難しい少量多品種のご依頼に応じて開発したのが、「InP」と「AlGaInP」という化合物半導体を粗面化させるための化学薬品です。この2つの製品は別のお客さまからのご依頼で開発を進めましたが、それぞれ異なる課題がありました。
2021年から取り組んだのは「InPを粗面化したい」というご要望から開発したInP粗面化液です。評価サンプルを提供していただくことで評価を開始しました。当初は他の化合物半導体向けの化学薬品やその類似組成を用いて粗面化できるかを検証しましたが、粗面化できないことが判明。InPを粗面化できる組成がなかなか見つからず、さまざまな化学薬品系統を検証して最終組成品にたどり着くまで1年以上かかり困難な道のりでした。しかし何度も検証を重ね新規原料を用いることで、粗面化に成功しました。
Phase 2
「ライブデモ評価」を実施するなど、柔軟な対応で解決(AlGaInP粗面化液)
2022年にお客さまからのご要望で開発がスタートしたAlGaInP粗面化液。課題は評価サンプルをお預かりすることが難しい状況だったことです。本来はお客さまから評価サンプルをお預かりし、化学薬品を検証する方法が理想ですが、今回は機密情報が含まれており厳重な取り扱いが必要だったため、お客さまにサンプルをお持ちいただき、同席のもとでライブデモ評価を実施しました。ライブデモの評価結果から推測して化学薬品組成を検証し、提案及びサンプルの出荷を行い、その提案組成の結果が出るたびにお客さまと打ち合わせを行いました。この一連の流れを繰り返して最終組成品の完成に至りました。
今回のようにお客さまから評価サンプルをお預かりできない状況下では、評価の結果から推測しての検証は時間や回数の制約もあり困難でしたが、日々変化する社会でさまざまなニーズ・条件下での対応は当然のこと。円滑なコミュニケーションと経験豊富な開発力によって新しい粗面化液が完成しました。
Phase 3
お客さまに満足いただける化学薬品を開発し、量産化に貢献
それぞれ異なる課題を解決して開発に成功したInP粗面化液とAlGaInP粗面化液。どちらの化学薬品もお客さまの要望をしっかりと把握し、お客さま・営業担当・研究開発担当の3者で何度も打ち合わせを重ね、カスタマイズすることで生まれました。現在は両薬品とも、お客さま側で製品の量産化に向けた薬液評価を継続していただいています。
今、さまざまな分野で粗面化液が求められていますが、お客さまの要望や条件に寄り添いながら、これからも新たな化学薬品の開発に邁進していきます。
●営業スタッフからひとこと
営業としてお客さまと研究開発スタッフとの密なコミュニケーションを意識しました。お客さまのご要望や評価結果を正確に開発者へ展開するなどスムーズな進行に貢献できたと思います。
●研究開発スタッフからのひとこと
InPは今後市場拡大していく見込みが高い材料であるため、今回の知見をもとに他のお客さまにも安心してご提案できると考えています。
【Inp粗面化液、AlGaInP粗面化液】
InP膜、AlGaInP膜ともに、特殊な技術を用いることなく表面を良好に粗面化エッチングし、光の取り出し効率を向上させることができる化学薬品。
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InP粗面化エッチング液
AlGaInP粗面化エッチング液
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